The Day in a Life

…と日記には書いておこう

推し

はてな Blog で「推し」をテーマにしたキャンペーンをやっていると知った。んじゃ何か書いてみるか?と思ったのだが。記事を集めるのはもう終わってしまってて、応募はできない。しかし。折角思いついたので、ちょっと書いてみようと思う。

自分の「推し」。テレキャスターだ。世界初の量産で成功したエレキギター。発売開始から、名前が変わったことはあるが、製造中止になることもなくずーと売られてる。大きなモデルチェンジもない。バリエーションは出たけれども。そんなギター。通称テレキャス

初めて見たのはいつだろう?多分、中学生の時じゃないかな?フォークギターを抱えて友達と遊んでて、高校生になったらエレキギターを買おうと決めてて。雑誌やカタログを眺めてた時に目にしているはず。しかし。購入候補はレスポールストラトキャスターで、店頭で弾き比べて線の細い音がイヤでストラトではなくレスポールを選んだのだけど。テレキャスを買おうという気持ちはその頃はさっぱりなかった。なんでかな?なんだか勝手に「歌う人のギター」って思ってたように思ってる。

初めて触ったテレキャスターは友人のだった。高校の頃の話。トーカイ製。キャンディアップルレッド。ローズ指板。友人が買ったばかりの頃にちょっと触っただけ。アンプから音も出さなかったんじゃないかなぁ。なので、特に感想はなく。自分のギターもあったから特に羨ましかったわけでもなく。さらっとしたもんだった。

次にテレキャスターを意識したのは大学生になったばかりの頃かな。1986年の春。バンドサークルに入ってすぐ。パンク系バンドを組んでライブをやった打ち上げの席で、自分たちのバンドを見ていた先輩が開口一番「お前はレスポールじゃなくテレキャスを弾け」と。へへへへと笑って返しておいたけど、多分それが呪いになっているんだと思う。その時から、心のどこかにテレキャスがひっかかってしまう。

そこからしばらく経った夏。ふと入った新宿の楽器屋でテレキャスフェアに遭遇。オールドのテレキャスが何本もブラ下がってた。中の一本を試奏させてもらう。ブロンドでメイプルネック。多分 72年だったと思うのだけれども。今思えば、15年くらい前のギターなんだからオールドと呼ぶには若すぎるか。で、これを Twin Reverb につないだ音で目から鱗というか、耳からなんだ?って状態。コンという感じのアタックの後、ギザギザだけれどもどこまでも澄んだサスティン。リバーブはかけていなかったけれども奥行のある立体的な音。一発で気に入ってしまう。しかし。17万とかの値札。今じゃぁ安いくらいだが、その当時貧乏学生だった自分には買えるわけもなく。音の記憶だけを胸に仕舞って、それでおしまい。ひっかかってただけのギターが憧れになってしまった。

そしてその冬。太いからと選んだハムバッカーの音を持て余すようになってしまう。自分のプレイスタイルにはシングルコイルのキレのいい音が必要だと気付いてしまう。たまたま遊びに行った友人宅。その友人はギターを買ったばかり。彼は自分とは逆で、シングルコイルからハムバッカーに乗り換えてて。じゃぁ古い方のギターを売ってくんない?と冗談半分で言ってみたら、「いいよ」と即答。グレコの一番安いモデルのストラト。値段も 1.5万と安かった。商談成立。
ということでシングルコイルのギターを手に入れたんだが、その翌日、お茶の水で入った楽器屋で中古のテレキャスに目が留まってしまう。Fender Japan の 55,000円のモデル。ブリッジがケーラーに交換されてる。39,800円。あまりにビビっときすぎてローン組んで買おうとしたが、同行の友人が金貸してくれて買えたという。これが初めての自分のテレキャス。その後、なんとなくピックアップを Duncan の STL-1 に替えてみたら、いつぞや弾いた 72年製の音にぐっと近付いて。ピックアップって大事ってのを知れたギターでもあった。

その後、このギターは弟に貸してしまって今は手元にないんだけど。今は VanZandt 製の Thinline、TLV-R3 という1966年あたりの仕様のモデル、パーツを別々に調達して組み上げた実験用と三本所有。一時は他の手持ちのギターを全部手放し、ナッシュビルスタイル(ストラトの代用)、デラックス(レスポールの代用)、レゲェマスター(レスポールスペシャルの代用)てなラインナップにしてしまおうかと考えたもんだが。実行には移さず。この頃は Thinline の 2ハムが欲しいと思ってたり。
レスポールストラトもいいけど、テレキャスは何か特別ぐっときてる。反応が良すぎて、真面目に弾かないと応えてくれないし、真面目に弾いた分ちゃんと応えてくれるギター。それがテレキャス。自分の推し。